O社は主にFPDデバイスメーカーに真空成膜装置を組み立て、販売している。
最近ではTV以外にもデジタルサイネージなどに活用幅が広がったことから、大型FPDのニーズは増加傾向にあった。また、FPD製造以外にも真空や雰囲気遮断といった気密性を維持するプロセスが増えており、それらに必須となるゲートバルブユニットの需要も増加の一途をたどっていた。
こうした動きはO社でも起きており、大型FPDやリチウムイオン電池の製造装置向けに、大口径ゲートバルブの相談が増え、その対応が急がれた。しかし大口径品の組み立て経験がないことから、方針はなかなか決まらなかった。
検討の結果、現在取引のあるメーカーが進めていた、大口径ゲートバルブの試作プロジェクトに技術協力として参加することにした。
ところが、既存口径のバルブほどの品質を維持することはなかなかできず、試作品の製作は暗礁に乗り上げてしまった。
原因を分析したところ、真空状態で成膜させるプロセスにおいて、リークによる真空度の悪化や、いくら注意しても発生してしまうパーティクルなどが、その要因であった。
特に重要なシール部分は何度も改善を試みたが、結果はどれも満足できるレベルには達しなかった。
しかし、このメーカーの技術力ではこれ以上の改善の見込みがたたず、プロジェクトは完全に頓挫してしまった。
経験がないことから、大口径ゲートバルブへの取り組み、方針が決まらない
参加したプロジェクトでの、大口径の真空対策について具体的な改善策が見出せない