宮内 修次(ミヤウチ シュウジ)
精密工具製造会社を経て、昭和57年に入江工研株式会社に入社。永年汎用、NC旋盤やボール盤で機械部品の加工業務に従事し、その豊富な知識や経験を活かして、治工具の考案や、新素材の切削条件の選定など、会社の精密加工全体をまとめるとともに、多様な機械設備の導入、設置、運転なども担当。
また社内若手技術者や愛媛県内高校でのものづくり教室で高校生や教員に積極的に技術指導を行うなど、技能の継承に大きく貢献。平成19年高度熟練技能者として認定。
1級技能士資格(機械加工職種 普通旋盤作業)
1級技能士資格(機械加工職種 ボール盤作業)
宮内は学校を卒業後、精密工具製造会社に就職し、汎用旋盤や研磨機などを使った部品加工業務に従事した。
当時社内には誰もいなかった一級技能士資格に挑戦し、見事取得。さらに優秀な成績を修めたことから愛媛県知事表彰を受賞した。
「知人に受けてみろと言われて課題図面を渡してもらい、それから必死になって勉強しました。周りには資格を取得した人はいなかったので、教えてくれる人は誰もいません。本当に難しかったです。
休日に一人で会社の機械を借りて図面通りにできるよう何度も練習し、学科も毎日昼休みや家に帰ってから勉強しました。その結果資格を取得でき、もの凄く達成感がありました。
この経験から、ものづくりに生涯を捧げたいと思うようになりました。」
昭和57年に入江工研株式会社に入社後も、技能を研鑽し続け、機械加工業務を行う工作班の中心として永年にわたり活躍を続けている。
宮内は、真空機械機器関連のステンレス綱(板材、薄肉製材パイプ)の旋盤加工を最も得意としている。また、機械設備にも精通しており、内子工場の設立や各種機械設備の導入、設置等にも大きく貢献した。
宮内が普段、技術力の向上のために心がけていることとは。
「何事にも積極的に取り組んできましたが、‘できない’のではなく、‘必ずできる’という意志のもと、挑戦することが大切です。また、常に向上心を持って業務に従事してきました。」
数年前には、国家プロジェクトであった、世界最先端の研究施設の建設にあたり、チタニウム材の溶接歪みを伴う困難な機械加工に、宮内が中心となって取り組み、極めて精度の高い製品を見事に製作することに成功し、高い評価を受けた。
「我が社は他社では、なかなかできない、これまでにないような機械部品の製作が強みです。技術者として、新しいものや難しいものに挑戦し、完成させることは本当に満足感があり、幸せなことです。これからもそういったものの製作に挑戦していきたいです。」
新しいものを製作するとき、宮内が大切にしていることは?
「こだわりを持つことです。依頼いただいた図面も、それが必ずしも正しいとは限りません。支障のない範囲内で、改善余地はないだろうかという意識を常に持って仕事をすると、本当に楽しくなります。
作業に従事する人は、図面が正しいとかこれ以上のものはないと思いがちですが、我が社は一つの固まりである素材を削って、一つ一つを溶接して組立てています。この部品がどういう風に組立てられるかとか、それが持つ機能などを深く考えながら、ここは少し変えてみようとか、常に考えながら取り組むことが大切です。これはとても難しいことですが、そのように我が社の技術者に指導しています。」
かつて木蝋(和ろうそく)で栄えた内子町の伝統的な職人気質に培われた入江工研 内子工場。
真空技術の基礎を支える工場として、主に製造の前工程を担い、高度な加工能力と溶接技術を有している。
加工・溶接に携わる社員はいずれも各種技能の国家試験や社内資格を持ち、優れた“職人技”を発揮している。